お国柄、能力・性格
どの国の人がいいか。これは皆さんの関心のあるところだと思いますが、難しい問題で簡単に言えることではありません。しかし、国別の特徴というのはやはりありますので、それを理解しておくことは、採用及びその後の人材活用に参考になると思います。日本人の中でも性格などにかなり差がありますので、外国人でもそらそうだ、程度にお考え頂きたいと思います。また、長所はしばしば短所に繋がり、良い点が逆に、悪い方に働くこともありますので、そのように少し緩く捉えて頂きたいと思います。
以下に比較のポイントを挙げます。主にこれらの点について各国を比較したり、日本と比較したりしたいと思います。ただ、日本が標準、日本が良い、日本のようにあるべき、という考えは捨てなければならないかもしれません。
1 性格、宗教、人間関係、社会性
2 日本語、及び英語の能力
3 学校教育、多い職種、職業的能力
4 出国に関する制度、人事制度
1 国別の性格、宗教、人間関係について
日本人はよく報告、連絡をします。悪いことはすぐ報告しなさい、とか「報連相」が大切だなどと教育されていることもあり、他国とは随分違います。外国人の場合、隠すとか、悪気があるというのでないですが、報告、連絡、相談をしないことが非常に多いです。良く言えば自立性が高く、頼らない、依存しない性格と言えます。自分でなんとかするという意識が強いと言えます。しかし、日本社会、特に会社ではこれは非常に嫌うことなので、初期の頃にぜひ指導して頂きたいと思います。
次に宗教についてですが、相手の宗教を聞くことはなんら問題ないと思います。(日本社会では問題とされていることは分かっているつもりですが。)例えば、イスラム教の人ならば、お祈りの希望等について良く聞き、お祈りで仕事場を離れて良い時間などある程度の取り決めが必要です。また、クリスチャンの日曜礼拝などについても良く聞き、例えば土日に仕事が多い職場などでは、雇用者、被雇用者共に、そのことをしっかり理解しておく必要があると思います。
人間関係は比較的スムーズにいくと思いますが、まれに非常に自己主張が強い人もいますので、初期段階で仕事の範囲、内容等々良く理解してもらっておく必要があります。
日本社会では、殆どの場合、会社での仕事を決めて採用している訳ではありません。技能職では決まっている場合が多々あると思いますが、総合職なとど言って、どこに配属されるか分からない場合が多くあります。例えば研究職と思っていたのに、営業?とかいうことも起りえます。これほどひどくないにしても、ホテルのフロント業務と言われて入ったので、忙しい時は、レストランやパーティー部門に応援にいくなどは良くあることではないでしょうか。そのようなことを始めに良く理解してもらう必要があります。非常に自己主張の強い人だと、「私は、そんなことはしません」ということもあります。
上に非常に悪い極端な例を上げましたが、東南アジアに人たちは非常に穏やかで忍耐強いので、うまく溶け込んでくれ人が多いです。大家族であったり、親戚付き合いが密であることなどと関係があるのかもしれません。特に、インドネシア人やフィリピン人は総じて人柄が穏やかで、他人に寛容な人が多いように思います。日本人は自分を飾ったり、強がったりします。それはプライドであり、助けを請わない姿勢であり、良い面でもありますが、フランクで気取らない、とは逆の方向にあると思います。フランクで気取らない人の方が付き合いやすいと言えます。
日本に長期に滞在したいのか、永住したいのか、はたまた数年で帰りたいのかは、個々人で異なります。日本で働きたい=日本に永住したい、ということはありません。ある程度お金が貯まったら、祖国に戻りたいという人も多くいます。
2 外国人の日本語及び英語の能力について
まず英語の能力ですが、やはりダントツにフィリピン人が高いです。マレーシア人なども英語がうまいですが、なまりがかなりきつく、フィリピン人の英語が聞きとりやすいです。フィリピンは外国人に対する英語教育産業が盛んで、直接、またはインターネットで英語を教えている、教えたことがある人が多くいます。台湾には英語のうまい人が多いです。ネパール人などもできる人が結構います。海外への関心、意欲の高さが塀を低くしているのだと思われます。逆に英語がうまくないのはベトナム人です。英語能力は面接の際、確認できます。
日本語についてですが、日本語のうまい人はやはりフィリピン人に多いと思います。日本語の発音が綺麗で聞き取りやすいです。おそらく、フィリピン人は母国語と英語の2カ国語を話すために、日本語は3カ国語となり、音の幅が一人ために、日本語の発音にも抵抗なく入って行けるためかと思われます。
中国人は、日本語能力試験で1級の人(N1と言います)が多くいますが、N1,N2で話せない人も多くいます。漢字圏ですので、話す試験科目がない日本語能力試験では高得点が可能という訳です。フィリピンやインドネシア人(中華系でないインドネシア人)は漢字を全く知らず、日本語を殆ど音で勉強しており、N3だと大体日常会話が可能です。ベトナム人は残念ながら日本が下手です。特に発音に問題があります。ベトナム語の発音が日本語と根本的に違うので、日本語に慣れないのだと思います。また、国自体がやや閉鎖的で、第2外国に馴染んでいないために日本語の習得が難しのだと思います。海外には日本語学科がある大学がかなりの数あり、そこを出た人たちはうまいです。こういう人は通常英語もうまいです。
ただ日本語と母国語が出来るだけでは採用しにくいので、それがネックになります。機械や電気を専攻した人で日本がうまい人が多くいるといいのですが。そいいういみで実習生経験者は期待できます。実習生経験者で大学を出ている人なら、その専攻科目で就職ができ、大学を出ていなければ、特定技能という道で日本での就労が可能です。
私共が「日本語が出来る人を紹介します」と言っているのは、日本政府や日本の法律は日本語能力を在留、就労の条件としていませんが、日本で楽しく活躍してもらうには、「日本語能力は必須」と考えていますので、N3以上の実力のある人をご紹介しております。
私共は微力ですが、日本で働く意欲のある方にインターネットを通じ無料で日本語教育をしています。仕事をしつつ、夜定期的にきっちり出席する人は、日本でうまく仕事をし、生活してくれると思っています。小中学生用の日本の新聞を利用したり、また落語を練習させたりしてモチベーションアップを図っています。
3 学校教育、多い職種、職業的能力について
どの国もかなり高等教育が進んでいますが、それらの人を受け入れる仕事が自国内に少ない状況ですから、その人達に日本で活躍してもらう可能性は非常に高いと思います。日本の入管制度では、大学を出ており、大学での専攻に関する仕事をするならば、雇用者さえあれば来日、在留可能、就労可能としてなっていますので、ある意味「広き門」と言えます。日本語能力も問いません。唯一、大学を出ていること、その専攻を活用することだけです。
大学の学部、学科はやはり機械、電気が多いです。他、観光関係などあります。日本語、英語専攻の人もいます。建築、土木など建設関係の求人が多いのですが、残念ならが建設関係で日本語が出来る人は非常に少ないです。接客ではフィリピン人が適性が高いと思います。
4 出国に関する制度について
日本が受け入れれば、即ち入管が申請された人材について「在留資格証明書」が発行されれば、各国の日本大使館で日本に入国するためのVisa(査証)を取得でき、それにより、出国、日本入国が可能なのですが、フィリピンだけは、その証明があっても、フィリピン政府が発行する「出国許可(海外就労許可)」がないと出国できません。これについては、➡️「フィリピン人採用のためのPOLO手続き」という記事でご説明しておりますのご参照下さい。