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1 外国人雇用を増やしてもいいのか?
1)外国人が増えている現実と背景
日本の『人口減少』は急速です。1年に50万人、つまり大きな都市が毎年ひとつづつ無くなっていく状況です。 同時に、労働人口の減少も急速です。しかし、なかなか子供を増やすことが出来ない状況です。その様な背景をもとに『外国人労働力』は急速に増えています。しかしそれは、『やや歪んだ形』で増えています。
-1 実習生の増加
実習生が出来る職種をどんどん増やしています。これにより実習生が増えていますが、問題がいろいろ指摘されています。「やっと仕事を覚えた頃帰国」が雇用者の大きな不満です。不満はあるが、他に方法が無いから、実習生を活用するというのが本音ではないでしょうか。このような現実の問題の他、「そもそも論」という問題もあります。「研修・実習」という看板を掲げて「最低賃金で労働力として使っている」という問題です。実習で腕をあげ、本人が喜び、会社も喜び非常にうまくいっているケースが多くありますが、年間数千人の疾走(逃亡)者(不法滞在者)を生んでいるのも事実です。
-2 日本語学校在学生のアルバイト
日本で働きたい、という学生が多く日本語学校に入り、そして、実際に労働力として働いている問題です。許されてる就労時間(週28時間以内)を大幅に超えている例が多く見受けられます。これも正しい姿とは言えない外国人活用の形態です。必要悪の様な形で外国人労働力は急拡大しています。
2)”外国人雇用是非”に結論は出た?
「人口減少」「労働人口減少」の大きなトレンドの中で「外国人活用は是か非か」の結論はもう出たように思われます。上記の現実が物語っています。17年に「1年以上滞在する外国人」が年間40万人になりました。これは、この定義の『移民」では世界第4位です。最近の雑誌に『本当は移民大国日本』などという記事が出ており、マスコミによく登場している三橋貴明氏も、今や世界4位の「移民受け入れ大国」などと言っています。https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12312813964.html 17年9月
日本政府は「今後とも移民政策はとらない」と言っていますが、正規のフルタイムで長く働ける「就労ビザ」によるによる門戸が狭いため、やや歪んだ形で「外国人労働者」が増えている訳です。これらの人はなくてはならない労働力となっています。もう、外国人活用は必須のもの、という結論が出ているというのは、言い過ぎでしょうか。ただ方法がよいかどうかは、いろいろ議論があると思います。
2 外国人導入はどうあるべきか?
1)導入における問題点、不安の整理
-1 外国人が増えると犯罪が増える?
よくニュースが「強盗は片言の日本語を話していた。」とか、「犯行後中国に帰ってしまった。」とか伝えています。「外国人犯罪は多い」のか? 外国人の総数が増えていて、それに伴い犯罪が増えているのか、外国人の一人当たりの犯罪件数が多いから目立つのか、どうも正確なところがはっきりしません。
-2 日本は単一民族で移民制度は相いれない?
日本は単一民族で、島国であり鎖国の歴史などもあって、外国人との接触が少ないために外国人との共存がうまくできない、一緒に生活することが出来ないという気質が定着しているのかもしれません。日本語を始めとする日本の伝統、文化が破壊されるという不安さえあります。このような不安、問題に対しひとつの信頼できる答があります。
2)「外国人を増やしていいのか」に対する答
上記の諸問題に対し、政府もいろいろ考えているようですが、どうも「日本に長く住んでもらっては困る。外国人活用の方策は実習生制度の拡大だ。」の一本槍のようです。そんな中で、非常に説得力のあるひとつの答がここにあります。
それは、2015年頃から外国人の導入について積極的に提言されている“元警察庁長官”であり“元スイス大使”である國松孝次氏のご意見です。警察庁長官として治安を総括し、スイス大使として、人口800万人の4分の1が外国人である国をつぶさに見てこられた國松氏のご意見は拝聴するに値するものだと思います。簡単に要約しますと次の様になります。
3 國松“元警察庁長官”の外国人活用への提言
1)國松氏の現状認識
-1 女性や高齢者だけでは足りない労働力不足
人口減少が続く中、労働力の現状を見れば、抜本的な対策をしなければ日本社会がもたないのは明らかです。順番からいえば女性や高齢者に活躍してもらうのが先です。しかし、これから起きるであろうものすごい人口減少を考えると、それではもたない段階にまで来ているというのが日本の現実です。
-2 外国人を受け入れる伝統がない、は誤解
日本には外国人を歓迎する伝統がないというのは思い込みです。飛鳥時代の昔から外国人を受け入れてきました。幕末から明治にかけて、お雇い外国人を招いて西欧の文明や技術を採り入れた。終戦直後の米軍進駐にしても、社会の大勢としてはなじんだのではないでしょうか。
-3 トラブルはあるが、早く慣れる必要がある
一方で他のアジアを見下すような風潮は明治以降の近代化の過程で出てきた現象です。確かに言葉や生活習慣が異なる人と暮らすことに不安を感じる日本人がいるのは理解できる。外国人の受け入れが簡単だというつもりはありません。トラブルはあるでしょう。だからこそ、早く慣れて備えておく必要があります。
2)外国人が増えることへの対応策
-1 外国人受入れの負の部分への対策を強化すべき
優秀な外国人であるだけを招き入れると様な考え方がありますが、(実際、高度人材受け入れという制度がありますが)、実際はそうなりません。問題の多い外国人がやって来たり、日本の生活の中で落ちこぼれていく人も出てくるわけです。外国人受け入れの「負」の部分は必ず出てきます。その負の部分をできるだけ小さくするにはどうすべきか。今こそ、それを真剣に考える必要があります。
-2 外国人の犯罪率は高くない
警察にいても、外国人の方が罪を犯す率が高いという実感はなかったです。
-3 スイスでは4分の1が外国人定住者や短期労働者
スイスの人口800万人の4分の1が外国人の定住者や短期労働者です。
-4 外国人に教育の機会等を
外国人に言語教育や職業訓練を施し、能力に見合う仕事や役職に就く機会を与えていることです。罪を犯せば強制退去などの厳しい措置が取られ、社会に溶け込む意思も能力もなければ滞在許可の延長が拒否される場合もある。
労働力として利用して、用がすめば『はい、お帰り下さい』ですみますか。外国人も安定した人生を送りたい。であれば、日本社会に溶け込んで下さい、ルールを守って下さい、日本語習得の場など必要なことは国が責任を持って提供しますから、と。それでも『いやだ』という人には、厳正にお引き取りいただけばいい。
これが國松氏の提言です。いかがでしょうか。他にも色々提言があります。➡️「國松氏の提言1」➡️「國松氏の提言2」ご参照下さい。
4 まとめ
外国人活用は必須の道、問題もあるが、解決しなければならない、解決できるというのが結論です。自信を持って採用して頂き、かつ、日本での「良き生活者」になってもらうために、日本語教育支援などいろいろご支援、ご指導をお願いしたいと思います。