外国人採用の手続き

外国人社員の募集から入社まで

  外国人正社員採用の手順、手続きについては、日本人の場合と少し異なるところがあります。日本人採用をベースに、外国人採用に特有な事項を以下順次説明致します。それに加え、各国とは非常に異なるフィリピン人採用手続きの概略に触れることとします。
  主な内容は、順に以下の通りです。
   ・求人活動の開始      求人票による弊社への紹介依頼、募集の開始
   ・人選、雇用契約    履歴書、SKYPE等による人選、合格者との雇用契約

   ・入管手続き、入社   入管への申請、合否判定、来日、入社
必要に応じこのページの後半に入れています参考資料1、2を参照頂くと分かり易いと思います。

1 外国人募集の開始

1)  外国人採用の為の求人票発行

  どんな人材が欲しいか、求人票を作成し、弊社に知らせて頂くことが第一歩です。求人票の内容は、基本的には、日本人採用の場合と同じですが、一部異なることがありますので、それらをご説明いたします。求人票の書式(フォーマット)等はどんなものでも全く構いません。日本で通常お使いのもので結構です。提供することも出来ます。

(1) 雇用(契約)期間
  「制限なし」、「1年(3年)、その後相談により延長」などの記載が考えられます。前者の「期限なし」は通常の日本人雇用にならっており、後者の「1年、その後延長」は、在留資格申請で多くの場合、最初に与えられるのが1年、3年であることから、それをベースにしています。1年と明記すると、万一雇用を続けたくないとか、続けられないとなった場合に雇用者に有利に働きますが、被雇用者にとっては辞めやすい契約になります。その仕事を続けたいと社員に思ってもらう努力は雇用者にとって可能なことですから、後者が無難だと思います。(フィリピンの場合は、海外雇用庁がなぜか3年が基本と言います。国が有期で派遣、そして祖国に戻すという意識が強いためかと思われます。)
  上記の1年の在留期間が過ぎ、延長をする場合、被雇用者、つまり外国人が自身で申請しますが、雇用者も「延長して雇用します」という意味で署名します。その際、本人に「延長期間中辞めませんね」と念押ししておくことは、早期に退職することを防止するために重要だと思います。「やめません」という趣旨を書面に残す等のやり方は、法的に問題があり、書いても無効です。

(2) 保険、年金について
  これは、日本人と同様、健康保険と共に社会保険として加入しなければなりません。年金がもらえるまで日本に居るとは限らない人に、加入を義務づけるのは酷に思われますが、法律で義務つけられています。給付前に退職して故国に帰えると、年金はもらえませんが、本人が申請すると本人納付総額の半分が本人に返還されるとのことになっています。

(3) フィリピン特有事項
  フィリピンの場合は、国(正確には海外雇用庁)特有の求人、募集開始手続きや雇用契約書の雛形があり、それに従がなければならないようになっています。フィリピン人採用のための手続き、POLO手続きについては➡️「フィリピン人採用のPOLO手続き」をご覧下さい。

2)  有料職業紹介業務の説明と外国人紹介契約

  まず最初に「外国人を採用したいので紹介して欲しい」「責任持って紹介します」という意味で、求人者と弊社の間で有料職業紹介の契約を結びます。これは、厚生労働省の定めるルールに則ったものです。これにより採用に向けて、募集、人選等の活動、つまり紹介活動を開始することになります。契約に先立ち、職業紹介とはどの様なものか?許認可は?紹介活動開始から採用までの流れは?等を弊社から求人者に説明致します。全体の流れを下記、「参考資料1、2」に示しています。

2 外国人人材の募集、人選

  募集は、弊社独自で、または海外の人材会社のネットワークを使い募集します。募集の後、推薦する人材について、雇用希望者に以下のようにご紹介し、人選を進め、徐々に絞り込みます。

1)  弊社推薦書による外国人人材の紹介

  推薦出来る人材が確保出来次第、推薦書に略歴、能力、職歴、本人希望、推薦理由などを記載し、求人者に確認頂きます。

2)  履歴書による紹介

  日本語の本人履歴書をお送りし、確認頂きます。

3)  自己紹介ビデオによる紹介

  必要に応じYou Tube, 動画(MP4等)を使い、ビデオ紹介をします。

4)  SKYPEによる面接

  求人者、求職者及び弊社の3者でSKYPE面接を行います。この段階で、ほぼ、人選を終了します。

5)  直接面接

  上記で不十分な場合、直接面接を行います。相手国に出向いての面接、もしくは日本によんでの面接になります。面接場所までの費用は、求人者、弊社で各自負担としております。日本に呼ぶ費用は、求人者負担とさせて頂きます。

3 外国人雇用契約、紹介契約

1)  外国人雇用契約

  雇用者、被雇用者との間で雇用契約を結びます。通常e-mailで行います。内容は日本人との契約と同じです。

2)  個別紹介契約

  雇用予定者の固有名詞を入れた紹介契約を、雇用予定者と弊社の間で結びます。

4 入国前教育

  主として日本語教育ですが、入管審査の期間を活用し、必要に応じインターネットを通じ、毎日又は、週何回か指導を行います。専門用語の指導要望があれば、その様な指導も行います。

5 入管手続き

1)  入管申請

  (1)「求人者(雇用予定者、以下雇用者)が準備する資料」及び(2)「求職者が準備する資料」に(3)「弊社が作成する資料」をつけて、求職者が、求職者が住む地域の所管の入管に持参して提出します。求職者が日本に居ない場合は、雇用者が代理人として、雇用者の所在地を所管する入管に、雇用者(代表または社員の方)が持参して提出します。2020年からはオンライン申請が可能になっています。この申請を正式には、「在留資格認定証明書交付申請」と言います。すでに日本にいる場合は、「在留資格変更」とか「在留期間更新」手続きとなりますが、申請内容は「在留資格認定証明書交付申請」に基本的に同じです。この申請の審査は非常に長期を要するので(初めての申請の場合、2ヵ月半ほど掛かります。)注意が必要です。申請についての法務省の案内、書類は右➡️「在留資格認定証明書交付申請」で確認頂けますが、以下で分かりやすく説明致します。行政書士が申請を代行することが出来ます。

(1)雇用者が準備するもの

A  前年度分の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」
B  登記簿謄本原本  3ヵ月以内のもの
C  直近決算書類   貸借対照表及び損益計算書
D  会社概要     会社概要を示すパンフ、ホームページ等
E  雇用契約書    上記で作ったもの

(2)求職者が準備するもの

  以下は、最も就職者が多い「技術、人文、国際」を例にしています。技能等とは異なります。
A  パスポートコピー
B  卒業証書コピー
C  証明写真     40mm×30mm正面から撮影。3ヵ月以内撮影のもの。(パソコン印刷不可)
D  履修表コピー   大学での単位取得の証明が必要です。
E   その他      国籍や所持資格によって他の証明書が求められることがあります。

(3)弊社が準備するもの

A  申請書      法務省定型フォームに必要事項を弊社で記載
B  雇用理由書    雇用者の意見を聞き取り整理して作成

2)  在留資格審査と在留資格証明書の発行

  ここでは、在留資格の有無、即ち、日本への受入れ基準について記載します。極めて重要な事項です。
  外国人をエンジニア、語学講師、ホテル従業員等々として日本に受入れの基準は、➡️「出入国在留管理庁のガイドライン」で詳しく説明されています。要約しますと『大学等での専攻や職歴により得た能力又は母国語の能力を活用することにより、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けること』である。ちょっと分かりにくいと思いますので簡単に。大学の専攻と日本での仕事に密接な関係があることを求めています。これは具体的には、上記”入管への提出資料”の中にある会社の登記簿謄本、会社概要、雇用理由書、卒業証明、履修表を元に審査することになります。ですから、雇用理由書が非常に重要になります。(他の資料は中身を変えることが出来ませんので。)もう一つは、報酬の要件です。仕事に従事することにより、日本での生活に困らない報酬があることを求めています。母国語を活用とは、ベトナム人がベトナム語を活用して仕事をする様な場合を示しています。この場合明記されていませんが、大学を卒業していることを要します。専攻は問いません。在留資格「技能」で入国する場合には、また別途異なる要件が決められています。  
 この審査に合格すると、入管に申請を提出した者に、在留資格証明書(COE)が送付され、応募者がその国の日本大使館、領事館に持って行き、Visaを取得することがなります。応募者が日本にいる場合は、本人が申請し、本人に資格証明書が届くことになります。
  在留資格、就労資格、Visaは少しずつ意味が異なり、Visaは1回だけ使用可能な入国許可査証を言いますが、もっと広く在留資格、就労資格のような意味で使われています。入国の際、在留カードが交付され(手渡され)ます。これが在留中の身分の証明書になります。

参考資料 1

参考資料 2

6 紹介手数料の額と支払い方法

1)  厚生労働省への届け出額

  有料で人材を紹介する場合、厚生労働省から有料紹介事業の認可を受ける必要があります。弊社も受けておりますが、認可を受ける際、「手数料届出書」というものを提出し、求人者が弊社に支払うべき額の認定を受けております。弊社では、一般的な紹介手数料と同等の「就職後の1年間に支払われる賃金の30%」を成功報酬として支払うとしています。また、特殊な条件による特別の求職者の開拓やそのための調査・探索には、上記に加え、着手金として10万円を認定されています。支払い方法を含め、案件毎に個別に契約させて頂きます。
  上記の「1年間に支払われる賃金」には通常ボーナスや残業手当などを含みますが、これは上限とし、弊社では通常、初任給(雇用契約書に記載の額)の3月分(+消費税)を紹介料として頂いております。額は紹介契約書に記載します。

2)  紹介手数料以外の各種手数料

  主な手続きのひとつは、入国管理事務所への申請です。これについては、弊社で準備致します。費用は頂きません。ただし、行政書士に提出の代行を依頼する場合は別途費用が必要です。通常は、雇用者に提出頂いています。
  この他、フィリピンだけの問題ですが、『フィリピン政府への海外勤務申請(海外雇用庁POEAへの許可申請)』があり、(「POLO手続きと呼んでいます。)これは、フィリピンの人材業者を通してのみ可能な手続きで、この会社が行う募集、面談、手続きの費用を負担する必要があります。この費用負担についてはご負担を相談させて頂きたいと思います。

3)  早期退職時の対応など

  紹介手数料のお支払いは、入社後です。それ以前の支払いは、上記の着手金を頂く以外、一切ありません。通常着手金は頂きません。成功報酬のみです。(また、早期退職に対しては、期間に応じて紹介手数料を返金致します。これのことは紹介契約書にて取り交わします。)

7 フィリピン人採用手続きは複雑です

  海外への人材送り出し大国であるフィリピンとって、送り出した人材が、その国でどの様に扱われるかは、非常に大きな問題で、送り出す人材を保護するための「海外雇用庁POEA]という組織があります。また、その下部組織が各国に置かれてれています。日本は、東京の大使管内に「POLO TOKYO」という組織があります。従来は日本でここ1カ所でしたが、2020年4月から大阪にも「POLO」ができました。フィリピン人が出国する場合、POEAからの「出国許可(海外就労許可)」が必要です。例えば、留学生が日本でそのまま就職した場合でも、帰国して、再度日本にくる時には、「出国許可」が必要です。これらの手続き、いわゆる「POLO手続き」について、以下にフローを示しますが、詳細は別ページ➡️フィリピン人採用のためのPOLO手続きの概要」をご覧下さい。

 

フィリピン人招へい手続き概要 (POLO手続き)

 

 

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